美しい組版を追求 校正技術は業界トップクラス
東京都青梅市の(株)精興社 様(以下 敬称略)本社工場は昨年10月、セイコーアイ・インフォテック(SII)のモノクロLEDプルーファ「LP-1010印刷モデル」を導入し、校正部門の効率化と品質向上を実現した。
同社は高品質の出版印刷物を提供することで出版業界、印刷業界に広く知られている。編集担当者に「難しい組版があれば 精興社で」といわれるように、学術物、数式物など複雑な出版物が得意分野。活版印刷会社として創業した1913年以来、出版社、編集者の厳しい要求に応え ながら、高度な技術を磨きかけてきた印刷会社である。
出版印刷物は印刷物そのものが商品となるため、品質への要求が一般の印刷物に比べて極めて高い。著者や編集者は誤字・ 脱字はもとより、文章や文面、美しい文字と組版を追求する。同社が1930年に細明朝の「精興社タイプ」と呼ばれる独自の活字書体を開発したのも品質向上 の一環。自社内で母型から活字鋳造するフォントメーカーとしての機能を保有することによって、美しい印刷物の生産を実現した。しかも、一度使用した活字は 品質維持のため再利用しない方針を貫き、高品質の出版印刷物といえば精興社というブランドを築き上げてきた。
同社では組版や印刷の品質ばかりでなく、校正・校閲の品質にもこだわりを持つ。校正・校閲を、品質管理にかかせない重要な部門と位置づけ、内校の技術は業界トップクラス。同社の校正者の頭には大漢和辞典が入っているほどだという。
1995年、組版のコンピュータ化に伴って同社の活版印刷は終了した。その後、製版分野にもデジタル技術を取り入れ、 2000年にはポリエステルベースのCTPを導入してフルデジタル生産体制を確立した。現在では、出版社の要望に応じて電算写植、モトヤ組版、DTPの3 ラインを併用している。
細字の品質でクレーム 校正システムを入れ替え
フ ルデジタルラインが構築された当初、同社では青焼き校正に変わる校正機としてA2判のモノクロLEDプリンタを導入した。ところが同工場で稼動する7台の 印刷機はすべて菊全判機のため、手作業で2枚を貼り合わせていた。しかも頁の貼り間違えなど大きな事故につながりかねないミスも発生していた。加えて小さ な文字を使う文庫本では明朝体の横棒が印字されないこともあり、写真品質も顧客が満足できるものではなかった。
同社の制作課生産システム担当の小野克之課長は、「以前のプリンタの品質は400dpi。校正紙の文字にクレームが つくこともあった」と、面付け校正用のシステムの入れ替えを検討し、調査を開始。一昨年、東京ビッグサイトで開催された印刷機材展JGAS2005の会場 で「校正システム」をテーマにくまなく機器を探し回った。そしてたどりついたのがSIIのブースに展示してあった「LP-1010印刷モデル」だった。
LP-1010は解像度600dpiで細字の再現力に優れる。印刷用データの2,400dpi、3,657dpi等、あらゆる解像度の1bitTIFFデータを最適に変換し、出力するため、文字化け等のトラブルがなく、また、変換に伴うモアレや、階調飛びが軽減される。
導入に当たってはLP-1010から、従来のプリンタでクレームが発生したデータを出力。品質に厳しい営業担当者に確認したところ高い評価を得た。導入後は校正紙に対するクレームが発生せず、顧客も満足しているという。
主小ロット化に伴い版数増加 スピードの要求にも応える
出版物、とくに書籍は小ロット化が進んでいる。出版科学研究所の出版月報によると新刊一点当たりの発行部数は2005年が5,199.4冊で前年比114.7冊の減少。発行点数は年々増え続け、多品種小ロット傾向にある。
精興社では現在、平均で一日当たり約1,000頁を処理。月間で約20,000頁にも達する。印刷の台数では一日当たり40〜50台をこなし、年々、その数 が増えている。しかも納期は厳しくなるばかりで、CTPシステムも2004年7月には生産性を考慮して大日本スクリーン製造のサーマルCTPシステムに切 り替えた。
「版数が増え、納期が短くなると校正部門にも影響が出る。校正システムの選定に当たってはインクジェットプリンタも候 補に入れたが、出力速度が遅く、とても導入できなかった。従来使っていたLEDプリンタも、仕事が集中してしまうと出力時間と貼り合わせの時間が間に合わ ず、校正部門は大混乱。CTPが速くなっても校正が間に合わないこともあり、まさにボトルネックとなっていた」(小野氏)
LP-1010はA4・8面付の菊全判を48秒で出力する。頁の貼り合わせをするために従業員が出力されるのを待つと いう無駄な時間がなくなった。一日当たりの出力枚数40〜50枚はかるく処理するため、必要なときに出力し、表裏だけ貼り合わせすればよくなり作業効率が 格段に向上した。
出力した校正紙は営業部門のある千代田区神田錦町の神田事業所に定期便で搬送する。定期便は午前と夜の2回で、この便 に乗せなければ半日が無駄になっていた。小野氏は「以前のプリンタではこの定期便に乗せなければというプレッシャーが大きかったが、LP-1010に変え てから慌てることがなくなった。できれば神田錦町の営業所にもう一台あればもっと効率良く運用できるだろう」と高く評価している。ちなみに定期便は現在、 一日に一便となっているが、校正出力がボトルネックになることはない。
作業効率の向上で スタッカー等各種オプション
同社に導入されているLP-1010は各種オプションを装着し、印刷物生産に適した仕様となっている。
LP-1010の前面には専用のスタッカーが装備。これにより出力された校正紙は頁順に並ぶ。作業者はスタッカーから出力された校正紙の束を取り出し、頁順に表裏を貼り合わせることになる。頁を並べ替える手間がなく、表裏の貼り合わせミスもこれで防げる。
側面には大容量のトナー が蓄えられる「ハイトナーボトル」が装着されている。LP-1010はトナーの入れ替えはカセット方式のため、手や周辺を汚さずに簡単にできるが、出力枚 数が多い場合、頻繁にトナーを補給することになる。大容量のハイトナーボトルにより、補給の回数が減り、作業効率が高くなっている。
今後の校正・検版作業について小野氏は「校正紙出力については大幅に改善された。これからは赤字修正のチェックが 課題。現在のソフト検版のシステムでは出版印刷物の場合、一行ずれると修正した後が全て真っ赤に表示されてしまう。良い検版ソフトを探したい」と、校正作 業の効率化と品質の維持・向上に努めていく。
株式会社 精興社
東京都青梅市根ヶ布1-385
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FAX 0428-20-7213
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